相続税の税務調査の種類

税務調査といえば、テレビや映画のイメージから強制的に行われるのではないかと不安に思われている方が多いのではないかと思います。
相続税の税務調査には、任意調査と強制調査の2つの種類があり、実際に行われる税務調査のほとんどが任意で行われる任意調査と呼ばれるものです。
それでは、任意調査と強制調査の違いはどのような点なのでしょうか。

1 . 任意調査

相続税の税務調査として一般的に行われるのは、この任意調査と呼ばれるものです。

この任意調査は、相続税法において次のように定められています。
(相続税法60条)
国税庁、国税局又は税務署の職員は、相続税若しくは贈与税に関する調査又は相続税若しくは贈与税の徴収について必要があるときは、納税義務者又は納税義務があると認められる者に質問し、納税義務者又は納税義務があると認められる者の財産若しくはその財産に関する帳簿書類その他の物件を検査することができる。

この相続税法60条に定められていることを「質問検査権」といいます。
あくまでも「検査することができる」と定められているため「任意」の調査ということになります。

しかしながら、任意の調査とはいうものの、税務署職員の質問に答えなかったり帳簿書類の検査を拒否したりすると、罰則が規定されています。
この罰則は、相続税法において次のように定められています。
(相続税法70条)
次のいずれかに該当する者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
2.国税庁、国税局又は税務署の職員による検査を拒み、妨げ、又は忌避した者
3.前号の検査に関し虚偽の記載又は記録をした帳簿書類を提示した者
4.国税庁、国税局又は税務署の職員による質問に対し答弁をしない者
5.前号の質問に対し虚偽の答弁をした者


刑事事件の場合は、自身にとって不利になることについて証言を拒否することも認められていますが、税務調査においてはこのようなことは認められていません。
一応は「任意」の税務調査という建前をとっていますが、その実態は強制される税務調査といってもよいでしょう。

2 . 強制調査

強制調査は、国税局査察部(通称マルサ)が担当し、不正な手段を使い高額で悪質な脱税について、社会的な責任や適正・公正な課税を実現するために行われます。
この強制調査は、悪質な脱税をしていることが見込まれる相続人に対して裁判所が許可状を発行し、強制的に書類などを押収することができます。

強制調査は犯罪捜査に準ずる方法で行われるため、事前に税務調査を行うことを相続人に通知するようなことはしません。
その理由は、事前に通知をしてしまうと証拠書類などが隠されてしまう可能性があるためです。
強制調査は、相続人の自宅だけではなく、相続人が会社を経営しているときは会社にも調査が行われます。
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